NYインテリアコラム2 プロの味わいを持ったアメリカ家庭のキッチン

アメリカ最新キッチン情報

ショールームの人がおっしゃるには「道具立てばかりで料理はあんまりしませんね」とのことですが。それでも私が地元で日本料理の教室をしたときは夕方のクラスだったこともあってご夫婦で参加してくださる方がありました。
写真協力Bilotta Kitchens
隅々までコーディネイトされ、きれいに片付いて「これで本当に料理をしているのかしら?」と思わせるキッチン、これがアメリカのキッチンのイメージではないでしょうか。洋の東西にかかわらず 「このごろ家庭で料理をしなくなった。」と言われているのに反してアメリカのキッチンは家の中心としての地位を堅く守っています。

日本のキッチンのカウンターにステンレスが多く使われていた時代にアメリカの家具調のキッチンは輝いて見えたものです。キッチンと言うよりはリビングのイメージでした。それがこのごろはプロ仕様化が進んで逆にレストランの厨房をイメージさせるキッチンが流行です。

この傾向がもっとも顕著なのがストーブと呼ばれるレンジ。四つ口はあたりまえ、六つ口に屋内でバーベキューが出来るグリルがついた業務用のレンジが一般家庭のキッチンの中心的存在として巾を利かせています。ストーブの上は焼肉屋さんのようなステンレスのレンジフード、パスタを茹でるのに便利なようにと日本のラーメン屋さんのようにレンジの後ろの壁には水栓まであるものもあります。これを取り巻く冷蔵庫、ディッシュワッシャー、オーブンなどの家電製品も次々とステンレス製の製品が家庭に浸透しています。

もうひとつ、プロの厨房をおもわせるのがポットラック。金属製の、多くは楕円形のフレームにフックを付けたラックを天井から吊るし、これに鍋をかけるのです。一々戸棚や引き出しから出すことなく手を伸ばせばお鍋に届くのです。このいわば「見せる収納」の難点はかけるお鍋の質。これもプロ化して柄の長いオールステンレス、又は銅のお鍋がインテリアのポイントとして使われています。

最近のキッチンの様変わりはアメリカ人のライフスタイルの変化が影響しているのでしょう。料理が生活の必需品から趣味になり、主婦の仕事から夫婦で楽しむレジャーになって来ている傾向が見られます。「料理をする人」と「料理をしない人」の垣根が高くなっているのです。料理が趣味の友人を持った幸せな人たちはアマチュアシェフのお手並みを拝見しながらプロ級のキッチンの一角で「作品」を味わう、リラックスしたおもてなしを受けるのでしょう。

(インテリアデザイナー しだ ひろこ)

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