NYインテリアコラム4 待ちかねた春、ナーサリーの楽しみ方

ニューヨーク在住のインテリアデザイナー しだひろこの連載コラム 4
暖かい日差しに誘われて、ガーデニング好きが集います

春の苗がお目見え。まだ霜の恐れがあるのでナーサリーの屋根のある部分に集中して、まずパンジーがディスプレーされています。吊るされたバスケットも花でいっぱいになります。
広葉樹に囲まれている我家は、11月に木々が葉を落としてしまうと、翌年の5月までは新緑を見られません。それでも4月に入ると陽射しが明るくなり、クロッカスや水仙が咲き始め、春がやってきます。長い冬、家の中で「冬眠」を強いられてきた人間たちは暖かい陽射しに誘われて屋外に出ます。母の日までは霜のおりる恐れがあるので部屋の中に取り入れていた鉢植えを外に出すことは出来ませんが、秋に仕残した枯葉の掃除をしたり、今年の庭の計画をしたりと人々の関心は庭に向けられます。

こちらではガーデンセンターをナーサリー又はファームと呼びます。英和辞典には、ナーサリー (Nursery) 1.育児室、保育園、2.苗床、養樹、3.ものを育成する環境。とあります。子供や植物のように小さい、弱いものを大切に育てるところ、それがナーサリーなのでしょう。

Evergreen Nursery, White Flower Farm, などと名前からして夢をかきたてられるこれらナーサリーでは、単に花の苗や樹を売るだけでなく、庭全体の構成の仕方、アクセントのつけ方など庭つくりの参考になるディスプレーに力が入れられています。コンテナーガーデニングに使われる植木鉢も豊富で、小型の木製の手押し車のようなものから、ポンペイで発掘されたようなつぼまで、各種取り揃えられています。 じょうろも銅製のものやブリキのアンティーク調のものまで、実用と言うよりは庭のアクセントとしてつかいたいものが並べられています。

アメリカ人のユーモアを感じさせるのが庭に立てて楽しむ小さなサイン看板の数々です。「犬が通ります」、「御用の方は庭まで」、とまじめなものから「雑草ご自由にお持ち帰りください」、「お静かに、雑草育成中」、「芝と戦い芝が勝った」、「お客様歓迎、(いらして歓迎、帰って歓迎)」から、きわどい「ズボンをはいたままで出来る事でガーデニングほど楽しいものはない」、までまったくよく考えるものだと感心してしまいます。

ナーサリーの一角にはショップがあり、ここではドライフラワー、ガーデニングの本、スコップやじょうろの形のブローチやイアリングなど、ちょっとプレゼントになるような品々がところ狭しと並べられています。麦藁帽子にシルクやドライフラワーをたくさん飾り、長いリボンを結んであるのは、かぶるためではなく冬の間飾ってあったリースのかわりにドアーにかけて飾るのです。ガーデニングの好きな人ならば「おにぎりを持って遠足気分で出かけたい」、ナーサリーはそんなところです。

(インテリアデザイナー しだ ひろこ)

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