NYインテリアコラム16 ジェンズ・リソム邸を訪れて(2)

モダンファーニチャーの巨匠を訪ねる――コネチカット州、ニューケイナン

リビングルームから作り付けの家具を見る。この中にテレビ、オーディオ類が収められている。
玄関を入って正面のダイニングルームにつづく廊下の片面には作り付けの家具があります。収納家具としての役割と同時に間仕切りとしての役割をはたす両面収納家具です。反対側のリビングルームからはテレビ、オーディオ類の収納、飾りだなとして使われています。
家の中を案内していただいて気が付いたのが同じサイドボード型の収納家具がダイニング、リビングそして書斎に置かれていたことでした。システム家具のはしりではないでしょうか、三つに分かれた収納部分のそれぞれを引出しや開き、又はファイルキャビネットと使用目的に合わせて仕様を変えることが出来ます。ダイニングに置かれていたものの扉は木目の練りつけですが枠は塗装仕上げでした。
「とてもしゃれた組み合わせですね」と申し上げるとリソム氏は「これは職人がサンドペーパーをかけ過ぎて練り付けたベニアをはがしてしまってもったいないので塗装仕上げにしてみたのですよ。」と裏話をして下さいました。枠の仕上げは白、黒、又は壁の色に合わせて選ぶことができます。

リビングルームの作り付け家具の裏側を見る。コート用のクローゼット、写真手前のダイニングルーム用のリネン類が収納されている。
リソム邸を見せていただき、つくづく感じたのは家、そしてその中にある家具は、住む人がより充実して快適に生活するための「道具」であると言うことです。
近頃のニューヨーク周辺の建設バブルで建つ家は目を見張るほど大きく、家具も本来そこに住む人間のスケールではなく、家のスケールに合わせて作られています。本来座るための椅子がステータスのためのまるで「玉座」のような存在になりつつあるように感じます。洋服の歴史を見ていくと着心地、機能性を重視してスタイルが変化してきたのに比べ最近の家具は本来の生活、目的を忘れてしまっているのではないでしょうか。
リソム邸を訪れて住宅の本来の姿をみせていただいた気がします。このごろリソム氏のデサインをはじめとするモダンデザインがレトロ趣味の範囲を超えて見直されて来ています。家具の質、使い良さなどを求める消費者の影響で、言ってみれば振れ過ぎた振り子を戻している現象ではないでしょうか。

(インテリアデザイナー しだ ひろこ)

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