いつまでも快適に、楽しく暮らすために ―― お掃除のプロ、綾部恵子さんのエッセー
12月、ポインセチアの赤い色が街中に溢れ出すと少し落ち着かない気分になります。クリスマス、大晦日、一夜明けて新年とお客様の多いこの時期です。
私の少女時代、来客は応接間や床の間のある奥座敷にお通しするのが一般的でしたが、合理化し、洋風化した現代の住まいでは家族のリビングにお客様をお迎えしておもてなしをすることがごく当たり前になりました。
リビングはまず家族の居心地を第一に考えた場所ですが、同時にお客様にとっても開かれたおもてなしの場所になったのです。趣味よく整えられた室内と家族の写真や手作りのクッションなど、その家らしい家庭的なインテリアがお客様にも寛いだ居心地となって伝わります。
仕事柄、たくさんのお宅のリビングを見てきました。子育てと仕事に追われる共働き家庭の機能を最優先にした家、思い出の品に囲まれて暮らす老婦人の家、ペットも家族の一員の家、ゆったりと日常と趣味を楽しむ裕福な家、留守がちの一人暮らしの家、きれいな庭にガーデンセットがあり、庭がもうひとつのリビングのような家など、暮らしとリビングのあり方は様々です。
ハウスクリーニングに伺ったあるお宅でのこと、紅葉したもみじの枝を花瓶に飾っていらした奥様が、掃除機をかけようとしているスタッフに「待って、そこは暫くそのままにして」と声を掛けました。見るとフローリングの上にはもみじのきれいな色と模様が…木の葉が床に落ちる様子を楽しんでいらしたのですね。
インテリアとは医学用語では‘内面’‘自分の心を映す鏡’という意味だそうです。ひとりひとりの好みも感性も様々だからこそ、自分らしくて我が家らしいインテリアが健全で楽しいといえるのですが、全体の調和がとれていることが大切です。外国映画に見られるホームパーティでは自宅が社交の場所として評価され、その家の主婦のセンスがご主人の昇進を左右しかねない様子さえ見てとれます。こうなると必死でハウスキーピングに励むわけも少し理解できますね。
来客も多く、人の出入りの多いこの時期には玄関先に「玄関マット」をぜひ、ご用意ください。靴底の汚れをマットで落とすことでいつもきれいな玄関が維持できます。「玄関」の言葉の意味は17世紀の禅宗の言葉で「玄妙に入る関門」から来ていると聞いたことがあります。もちろん家族の皆様も外出先から帰宅した際は玄関マットの上を通過して、ただいま!の儀式をお忘れなく。
綾部恵子