間違いのない家づくりをするために必要な書類とは――建築家 森岡茂夫氏のコラム ■契約書は必要なの?家づくりは、見て触って納得して買う家電製品や車と違い、これから造るものです。いわば手づくりの一品生産。おまけに、一生に何度も家づくりを経験している人はめったにいないでしょう。一昔前なら、親戚の大工さんに全てお任せで家ができた時代もありました。しかしこれだけ豊かに物が選べる時代になった反面、工事中に建設会社が倒産することも珍しくありません。もちろん、口約束も立派な契約(民法526条)ですが、つまらないトラブルを避け、気持ち良く家づくりが進められるよう、きちんと契約書を交わしましょう。
■工事契約書のチェックポイントは?ハウスメーカーや工務店に家づくりを依頼するときに交わすのが工事請負契約書です。法律(民法632条)では、請負とは、建主は代金の支払い、建設会社は家の完成を約束することとしています。ここで肝心なのは、もし取決めがないと「建設会社は家の完成を約束」すれば、約束した金額でどういう工法や材料で家を建てるかは建設会社の自由なのです。それでは困りますね。工事は長い時間が掛る上に、工事中は騒音や埃、車の通行など何かと近隣に迷惑を掛けます。住む前から近隣と気まずいことになっては大変。そうならない為には、契約書に
工事金額や
支払時期、
工事の日程はもちろん、もし
工事中に事故が起きた場合の責任や、
火災保険・工事の遅延・契約の解除など、工事中に予想されるさまざまな事を取り決める必要があります。また気をつけないといけないのは工事中だけではありません。工事が完成した後も、設備機器が故障したり、ときには雨漏りや基礎のひび割れなど「瑕疵(かし)」と呼ばれる不具合や欠陥が起きることもあります。万が一そのような
瑕疵が起きたときの為に、責任や保証の期間についても契約書や約款で取り決めることも必要です。
■請負契約に必要な三種の神器は?工事契約に必要なのは、
契約書と
約款だけではありません。建主の希望を詳細に描いた
設計図や、工事の手順や材料の性能・品質などを記述した
仕様書、詳しい
工事見積書などが必要です。一覧表を参考にして、これらの書類がちゃんと添付されていることをよく確認して、間違いのない家づくりを始めましょう。
<工事請負契約書と主な付属書類 一覧表>
(建築家 森岡茂夫)