第1回のコラムで紹介したドライウォール。従来のビニールクロスの壁や天井に比べて手間・暇は掛かりますが、長く美しいインテリアを保つ工夫がされていることをご理解頂けましたでしょうか。
カナダでは、ドライウォールのインテリアを塗料でリフォームした場合、その家を売却する時には掛かった費用の2倍の価値で評価されるという報告があります。つまり、塗装は誰でも安価に施工出来、その上見違えるような美しさを取り戻すことが可能なのです。
では、どうしてそんなにパラペイントのような輸入塗料は、素晴らしい効果を発揮するのでしょうか。それには、以下のことが考えられます。
1. 長く培われた美しい欧米の色の文化が存在し、そのバリエーションは2400色以上。工業色中心の国産塗料では、同じ色を再現出来ない。
2. ツヤなし(フラット)の塗料は、ハイセンスなインテリアを感じさせる。
3. 天井と壁は、目に入るインテリアの70%以上の面積を占める。(床は、家具で隠れる部分が大きい)
4. 汚れが染み込みやすいツヤなし塗料なのに、水拭きで簡単に汚れが落ちるという特徴がある。
5. 時間の経過による塗装の汚れや退色は、趣きとして受け入れられる。
6. ひどい汚れや傷は、パテと再塗装で簡単に元の状態に戻せる。
7. また、その際、素人がタッチアップしたとしても、高性能な輸入塗料はムラにならない。
8. クロスのように専門的な施工技術を必要としない。施工が簡単。
9. クロスでは、あまり変わり映えのしないインテリアしか作れない。
10. ビニールや接着剤に有害物質を含むクロスと違い、健康被害がない。(パラは、VOC (揮発性有機化合物の総称)の含有量を表示もしている。)
11. 住みながら施工を行わなければいけないリフォーム工事に於いても、全く臭わないので子供やお年寄りのいる家庭でも安心且つ安全。
上記のように、ドライウォール用の輸入塗料は、いろいろな点で優れたインテリアを作り出すことに貢献しますが、やはり一番素晴らしいのは色や表情(ツヤなし)の美しさに他なりません。それは、どんな有名人でも服装のカラーコーディネートひとつでセンスのあるなしが決まってしまうのと同じです。ですから、輸入塗料でご自宅をおしゃれなカフェやレストランに引けを取らないデザインに変えることは、十分可能なのです。それは、他社では出せない微妙な色の違いでさえも調色してしまう技術と文化があるからです。
そうしたことに慣れていない日本人にとっては、インテリアコーディネーターの助言が必要かも知れません。また、インテリアの雰囲気を更に高める為の照明デザインもしっかり計画する必要があるでしょう。そうしたことに配慮出来る経験豊かなビルダー(住宅会社)との出会いが大切であることは言うまでもありません。
同じ色を壁と天井に塗っても、違う色を塗ったように感じてしまうなどということは、よくあることです。それは、光の当たり方や家具やカーテンの色が壁や天井に映ることを想定していないからです。それ程、色は奥が深く、不思議なものなのです。逆に、塗装されたドライウォールは、面白いサプライズも生み出すのです。
写真は、同じ部屋でも時間が異なることによって、デザインが違って見えるいい例ですが、ドライウォールならどの時間帯に於いてもこれだけの美しさを演出出来るというのがお分かり頂けますでしょうか。
あと、ドアや窓、内装の飾り枠を白く塗ったりする場合は、壁とは対照的にツヤのある8分ツヤ(セミグロス)の塗料を使うと、お互いを引き立たせる効果があることも忘れてはいけません。(壁などにツヤの多い塗料を使うと、下品なイメージになってしまいますから要注意)
輸入塗料の色やツヤがあれば和風も洋風も思いのまま。輸入塗料は、日本古来の漆喰塗りを再現したり、ベンガラ色に和室を仕上げたりすることも可能です。
きっと、何年か先には、輸入塗料を使ったドライウォールのインテリアが、多くの高級住宅で主流になっていることでしょう。そして、ビニールクロスの文化は、今の勢力を失っているはずです。皆さんは、インテリアの殆どの面積を占める壁や天井を美しくしないで、どうやって素敵なインテリアを実現するのでしょうか。ドライウォールは、日本のインテリアデザインを一変させるだけのポテンシャルを持っています。皆さんも、欧米同様100年以上維持可能な住まいづくりに一歩踏み出してみましょう。
私たちのようなプロのビルダーなら、そんな皆さんの夢や思いを強力にバックアップしてくれるはずです。