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オゾンホールの巨大化による有害紫外線の増加、中国の経済発展による窒素酸化物及びオゾンによる空気汚染や酸性雨(黄砂)、地球の温暖化に伴う夏場の高温など、建物の外装に対するストレスは、日増しに多くなってきている。20年前には外壁の塗り替え時期は15年程度と説明するビルダーも多かったのではないかと思うが、今の都市部では塗装が10年もたないという建物も稀ではなくなった。
持ち家を手にしたばかりのご家庭にとっては、これは大きな問題だ。おそらく築10年未満というタイミングだと子供たちの教育費も一番多く必要な時期だろうし、住宅ローンの返済などでメンテナンス費用に回せるだけの蓄えもないというのが本音だろう。かといって、劣化した塗装を放置すれば、サイディングそのものを傷めてしまう危険性が生じてしまう。
勿論、最近はセラミック塗装やガルバリウム被覆などといった技術も登場しているが、20年を超える劣化保証を実施しているメーカーはどこにも存在しない。そういう場合、家を建てる消費者は、10年毎に100万円を超える金額を用意しなければならないことを十分認識して事前に計画を練る必要があるように思います。
では、そういった将来の維持管理費をどうにか抑える方策はないのだろうか。その答えは、「歴史の古い素材こそ耐久性がある」という考えの中にあるように思います。ヨーロッパの石造りの建物やイギリスのレンガ積みの家は、特別なメンテナンスを施さなくても100年以上生き続けているのです。スライスブリックやセラミックタイル張りも一定の耐久性があると言っていいが、常に剥離やクラック、脱落の恐れがあるし、薄い素材故に断熱性能が低いことなどを考えると今の時代にベストとは言えないかも知れない。
ただ、日本に於いて石造りやレンガ積みで問題となるのが、耐震性だろう。まず、レンガ積みの場合は、レンガ自体にいくつかの穴が開いている。そこに縦筋を入れたり、建物の構造体とレンガ外壁とをつなぐ金物をかませたりして耐震性を上げることが可能となる。当然、四方の壁、全面に積まなければ意味はない。石については、なかなかそういった穴が開いたものがなく、今の処地震に強いと言い切れるだけの感触が得られていないというのが現状だ。
以上のことから判断して、私としてはレンガ積みこそ究極の外壁材だと言えるのではないかと考えている。カナダのHanson社製レンガは、外壁用に設計された厚さが90mmもある焼きレンガなので、それ自体が外断熱の役割を果たしてくれる。構造体側でも中断熱をすれば、ダブル断熱になるのである。また、トロントのレンガの街並みのように100年以上の耐久性が期待出来る。そして、レンガのデザインバリエーションが豊富だというのも魅力である。
あとの問題は、レンガを積める職人が日本では非常に少ないということと、初期投資としての施工費にお金が掛かるということだろう。私のところでは、日本に在住しているカナダのレンガ職人やカナダから呼び寄せた職人にお願いをしてレンガを積んでいる。何故なら、経験の浅い日本人では、技術レベルに問題のある人が少なくないからである。また、最近の円高によって、カナダ人にお願いする費用も相対的に下がってきているというメリットも見逃せない。
確かに外壁以外の軒や樋といった部分が劣化するから外壁だけをレンガにしても、その部分の塗り直し時に必要な足場代などでメンテナンスコストはあまり下がらないという意見もある。だが、そういった人は外壁の劣化を防ぐ具体的な方策を何も見つけていないのである。結局、サイディングの塗り直しを10年毎に計算したら、そのコストや作業期間の住人のストレスは相当なものと考えられる。
多くの人にとっては一生に一度の家づくりだろうし、自分の子や孫が新しく建てる必要がないように造れば、30年で建て替えが必要な国産住宅と比べて相当なコスト削減になるのは火を見るより明らかだ。円高、住宅取得時の所得税減税、これからの消費税アップ、デフレによる建築費の低下など、高品質の輸入住宅を建てる環境は整っている。今こそ、夏冬快適な美しいレンガ積みの輸入住宅を造るチャンスではないだろうか。
建築コンサルタント 村瀬雄三有限会社 ホームメイド 代表取締役