本物の輸入住宅を目指して Vol.7 - 私たちは、目指すものが違う -

 

para_20110516.jpg多くの皆さんは、表題を見て私たち ホームメイドの造る輸入住宅と住宅メーカーの国産住宅とどう目指すものが違うのか、疑問に思われたことでしょう。ホームメイドと他社との違いというよりは、欧米と日本との物づくりに対する考え方の違いといった方が分かりやすいかも知れません。

 

端的に言えば、日本の製品は、いかにして壊れないものを安く造るかとか、付加価値をどう付けてお値打ち感を出すかという点に力点を置いているのに対し、欧米の製品は、本質的な機能や性能をいかに追求するかを優先して、その他のことは二の次なのです。

 

私の友人で自動車の修理会社をやっている人間から面白い話を伺いました。ドイツの車は、走る、曲がる、止まるという基本性能が、国産車とは全く次元が異なるというのです。また、乗る人が五感で感じる音や質感、感触を大切にしているそうです。例えば、ドイツ車は、よく止まるようにする為に摩擦抵抗が大きいので、ブレーキの減りも早いのですが、国産車のブレーキは、長持ちすることを優先している為に、ブレーキの効きが甘くなると言います。また、ブレーキを踏んだ時のフィーリング(感覚)や安心感が違うそうです。

 

いざという時の一瞬の危険回避を想定しているか、普段の費用を抑えることを想定するか、それはメーカーやユーザーの思想の問題であり、人の価値観で選択肢が決まります。そんな危ないことには絶対遭遇しないと思うかどうか、一定水準の機能があれば、安いものがいいと考えるかどうかです。差額分をカーナビやハイブリッド技術などの付加価値に使うことも出来ますからね。

 

また、欧米のメーカーは、自動車は人間の造った機械なんだから、壊れるのが当たり前だという意識で物づくりをしているそうです。つまり、機能をしっかり果たすが為に悪くなったものは、交換して本体を長く使えるようにしていこうという考え方なのです。しかしながら、国産メーカーは、まず壊れないもの、減らないものを造るという意識でいます。だから、交換を前提としていない部品が壊れた時は、そろそろ寿命なので買い換えましょうということになる訳です。

 

福島原発事故で、フランスの原子力大手アレバ社に支援を要請したというニュースは、皆さんの記憶にも新しいのではないでしょうか。アレバ社の代表である女性が、会見で「私たちは、あらゆる原子力のトラブルに対応するノウハウを持っていますので、それらを惜しみなく提供します」と言っていました。

 

裏を返して言えば、フランスの原発は、よくトラブルに見舞われていて、常にそういう試練を乗り越えてきているということです。つまり、人間の造ったものは必ず壊れるという前提で施設を設計する文化があって、壊れた時に対処しやすいような構造をしているのです。

 

でも、日本では、絶対安全でどんな災害に遭っても壊れない原発という前提ですから、壊れた時の対処など誰も考えていなかった。だから、自分たちでは対応が出来ず各国の支援が必要になったのです。こればっかりは、壊れたから買い替えましょうとはいきませんから。

 

ここでも、目指すものの違いや大切さがハッキリしてきましたね。

 

では、私たちが造る輸入住宅はどうなのでしょう?

 

例えば、私たちは、外壁として厚さ90mmのレンガを1万個近く積みます。わざわざ本場カナダのレンガ職人を呼んで施工しますから、材料費や工賃がたくさん必要になります。また、太陽の熱を構造体に伝えないようにしたり、構造体の湿気を取り除いたりする目的から、2x4の木造構造から少し離して基礎からレンガを積み上げていきます。ですから、丈夫な基礎や耐震用金物などの施工も十分考えなければなりません。

 

国産のコンクリートサイディングの外壁は、厚さが15mmの重い外壁材を胴縁という下地材を介して構造体に直に貼り付けます。胴縁は、結露対策の通気層を確保する目的で取付けられますが、薄い木の板ですからそれ自体が水分を吸って腐ってしまうかも知れません。また、構造体に外壁を直貼りするということは、構造に重しを付けるようなもので負担以外の何ものでもありません。そして、サイディング自体は、断熱性がある訳でもなく、10年毎に外装の塗り替えもしなければならないのです。

 

レンガ積みの外壁は自立していますから、地震の際にも構造体の負担になることはありません。万一外側のレンガが地震で崩れても、中の構造体は何の影響もありません。またレンガを積み直せば元通りの家に戻ります。サイディングやタイルは構造体に負荷を掛けますから、その重さで建物が揺れる力を大きくします。そして、サイディングが割れたりする場合は、構造体も損傷している可能性が大きくなります。

 

新築時のイニシャルコストや施工性を考えれば、誰も外壁としてレンガ積みを選ばないでしょう。でも、100年以上の耐久性や耐震性、断熱性や構造への負担、塗り替え不要といったメンテナンスコストを優先して考えるから、私たちはレンガを積むのです。

 

レンガの質感、木製ドアの温かみ、オークの無垢フローリングのニオイやしっかり感、ドライウォールの美しさや快適性。こうした特徴のある素材は、工業製品として作られた国産建材のような精度はありません。クセがあって、気温や湿度によって時には曲がり、時には伸び縮みもします。

 

正確無比な非の打ち所のないアルミの玄関ドアよりも、風雨に当たってひねってしまうかも知れない木の玄関ドアを私たちのお客様は選びます。そこには、他には替えがたい楽しさや見る喜び、触った時の温かみや安心感、満足感があるのです。また、北米のドアは、どこのメーカーでも全て同じサイズで作られています。ですから、トラブルの際にはすぐに交換が可能です。国産のドアは、メーカーや年代によってサイズはまちまち。建て替えしない限り、想定外のトラブルが解消することはありません。

 

自動車も原発も住宅もメーカーによる違いは、見た目では分かりません。でも、造り手の本質的な思想は、大きく異なるのです。どちらがいいかは、皆さんの目指すもの次第で決まります。

 

 

建築コンサルタント 村瀬雄三
有限会社 ホームメイド 代表取締役

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