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最近、あるお客様から、「オーストラリアンは、3世代で財産を蓄積する(親の世代が家 → 子の世代が別荘 → 孫の世代がクルーザー)とのことですが、3世代が同じ家に住む(3世代が同居する)ということなのでしょうか?子どもに何かしら財産を残してあげたいと思うのですが、イメージとして親から古い家をもらってうれしいと思えるか疑問です。オーストラリアなどではどうなのでしょうか?」という質問を頂きました。
それに対して、私は下記のように答えました。
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オーストラリアでの家の考え方ということですが、これはオーストラリアに限ったことではなく、欧米一般に言える考え方です。ただ、それは3世代が同居するというよりは、3世代かそれ以上に亘って財産を維持管理し、それらが蓄積されるということです。
勿論、今の中国や一昔前の日本のような経済の高度成長をしない欧米社会に於いて、収入が大幅に増えるという状況にありませんから、同居することによって無駄な出費を抑えることは欧米でも一般的なことであります。
日本の家は、素材が貧弱で一過性のデザインのものが多い為、30年もしないうちにその財産価値はゼロになってしまいますが、欧米では新築よりも古い家屋が高値で取引されることが多々見られます。因みに、トロントに住む私の友人の家は築80年を越えていますが、数千万円もするレンガ積みの家ですし、私がカナダツアーの時にお客様をお連れする宿も、築90年の家を宿泊用に改装したB&B(Bed & Breakfast、朝食付のペンション)なのです。
そういった家の評価が高いのは、古い家には今では手に入らないいい木材や建築資材が多く使われていたり、今では珍しいアンティークな美しいデザインが採用されていたりするからです。皆さんが、20年前に建てられた日本の住宅を見ても何もよさを感じないでしょうが、100年前に建てられたカナダの家は本当にかっこいいのです。
そういう高品質で美しいデザインを家づくりに取り入れることこそが、次世代に財産を手渡す唯一の方法です。でも、その為のイニシャルコストは、最初に皆さんが準備する必要があります。
今の日本の住宅にはそうした考えが求められているのですが、消費者は勿論、どの住宅メーカーも十分な対応をしていません。あなたが仰る通り、すぐにボロくなる安ものを子供たちがもらっても嬉しくないですね。(安ものと言っても、決して安くないのが不思議ですが・・・)
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私の答えは、如何でしたでしょうか。
伝統的ないい素材のものが古くなれば、その価値は見直されますが、流行だけを追った安易なものは時間の経過と共にゴミのように扱われます。苦労して建てた家がゴミだなんて、淋しいですよねぇ。日本人が、価値の低いものを高く買っているのだということに早く気付かなければ、ますます国内の資産が目減りしていくばかりです。
骨董品のように家を宝として大切にするか、日用品のように使い捨てにされるかは、素材やデザイン、維持管理の継続によって左右されます。それは、将来に亘って、誰もが素敵だと思える建物であり続けるかどうかに掛かっています。そこに輸入住宅の存在価値があるはずです。
建築コンサルタント 村瀬雄三有限会社 ホームメイド 代表取締役