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ローコストを優先する人にとっては、合板のフローリングだろうとビニールクロスだろうと、それがどうしたという感じでしょうが、少しでも自然素材に関心がある人や家づくりにこだわりを持っている人は、無垢の木製建具や床材、塗り壁をちょっとでもいいから施工したいというのが人情ですね。
私だって、少ない予算であっても何とかいい家にしたいと思います。ただ、その思いが反って仇となることもあるので、少々注意が必要です。
例えば、よくあるのが珪藻土を用いた塗り壁でのトラブル。調湿作用のある自然素材ですから、室内の空気中に放出された揮発性の有害化学物質も吸着してくれる素晴らしい素材であるのはご存じの通り。
あるお宅では、2階にある子供部屋の壁のうち、1つだけを珪藻土にしてあげると子供の健康にいいだろうと考えました。その他の壁や天井は、予算の問題でビニールクロスのまま。勿論、その他の部屋も全てクロス。
こういう場合に起こるのが、珪藻土の壁だけ湿気を多く吸い込み過ぎて、カビが生えてしまうというトラブルです。また、過水分で膨れた壁が元に戻る時にヒビが入ったり、空気中の汚れが付着して壁の色が変わってしまったりということも起こります。
今の住宅の多くは、高気密高断熱。そこにビニールクロスを張って室内の湿気が外に出にくい構造になっています。その為に24時間換気が義務付けられているじゃないかという反論もあるでしょうが、換気口のあるところは限られていますから、空気があまり動かない「よどみ」が出来る場所が存在します。
湿気の多い空気を常に珪藻土が引き受けるようなことが起こったら、どうなるでしょう。それも、家中の水分を一手に引き受けるとしたら。当然、上記のような問題が発生するのです。1階ではキッチンや浴室から多くの温かい湿気が発生します。温かい空気は、上へ上へと昇っていきますから、上の階は湿気が溜まりやすくなります。水が穴に向かって流れるように、何でも弱いところに集中しようとするんですね。
アイデアとしては、珪藻土はいいのですが、「木を見て森を見ず」ではいけません。珪藻土を家全体に施工するなど、全体のバランスが取れる家づくりを目指しましょう。「それなら、ビニールクロスでいいや」ということでもいけません。ビニールクロスは室内の空気を逃がしませんから、珪藻土でも対処出来ない多くの湿気や揮発性の化学物質を家族の皆さんが吸ってしまうのです。そんな環境に居たら、アレルギーや精神的にもよくありません。
私たちの輸入住宅で施工されるドライウォールやセルロース断熱材は、少しの価格アップだけで調湿性能を発揮してくれる素材です。そういった意味でも、こういう素材を使った正しい施工で家全体を計画したいものですね。
そうそう、こういう状況では、湿気による屋根裏の木材の腐れやカビの発生があることも忘れてはいけません。不安のあるおうちは、一度点検して下さいね。もし相談先がなければ、問い合わせにも応じます。
建築コンサルタント 村瀬雄三有限会社 ホームメイド 代表取締役