ですから、レンガ外壁自体に建物本体のような構造強度は必要ないとも言えるのです。建物のカバーですから、もし地震でレンガがダメージを受けても建物の構造本体には影響がありません。レンガを積み直せばそれで元通りという訳です。
ただ、ホームメイドのレンガ積み輸入住宅が、ヨーロッパの組積造と違うのは、レンガの穴や目地ラインに鉄筋をたくさん入れて耐震性を上げているという点です。
また、断面図をご覧頂くと分かりますが、レンガは強いコンクリートの基礎の上に積み上げられます。重量が掛かっているのは基礎だけで、内側にある構造本体とはお互いを引っ張り合うBRICK TIE(引っ張り金物)が、つながっているだけなのです。
それに引き換え、コンクリートのパネルで出来たサイディングと呼ばれる外壁材やレンガを模したタイルなどは、建物本体にぶら下がるように張り付いています。つまり、常に建物の構造が重いと感じる状態となりますし、地震の際にはその重さが揺れのエネルギーを増幅させる結果となります。
最近話題のJR東京駅の丸の内駅舎のレンガ積みは、関東大震災で全くの無傷でした。それも当時は鉄筋等を入れていなかったにも係わらず。また、震災当日が竣工パーティだった帝国ホテルも、外装のレンガ積みはビクともしませんでした。
皆さんだって、重い鎧をいつも着ていたらどんなに大変でしょう。重い体重の人は、同じ速度で走っても止まるのに時間が掛かりますよね。建物だって同じです。常に軽い方が狂いや歪みが生じにくく、地震の強い揺れ(地震の加速度)に対して壊れるリスクが低くなるのです。
2x4の木造で出来た構造体からすれば、レンガ積みの外装の方がタイル張りやサイディングに比べて、はるかに軽く快適なのがお分かりいただけますでしょうか。
塗装の塗り替えが必要のないレンガ、東京駅のように100年の耐久性のあるレンガ、構造体にとって負担のないレンガ、断熱性がある厚いレンガ、デザインが美しいレンガ。そんなレンガ積みなら、お金を掛ける値打ちがあると思いませんか。