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新築されるお客様の中には、「インテリアの色をもう少し濃くしたい」とおっしゃられる方が結構いらっしゃいます。最近は、内装色をダーク系にするトレンドもありますから、特にそうなのかも知れません。
写真の寝室の壁も、当初お客様が希望されたドライウォール(塗り壁)の色は、もっと濃い抹茶色でした。
塗装の色見本サンプルをご覧になる時は、机の上に置いて見るでしょう。つまり天井照明の光が直接当たった状態となりますから、陰も出来ず色が薄く感じられます。
でも、壁や天井に塗った時、そこには間接光しか当たりませんし、隣り合った壁同士が色を反射し合うので、自然と濃く(暗く)見えるものなのです。また、雨や曇りの日は、更に色が濃く見えることを忘れてはいけません。
ですから、インテリアの色を選ぶ時は、少し控え目にして考えると成功するリスクが減少します。勿論、人間の目という感覚的な要素がありますので、誰もがそう見えるということもありませんから、慎重に自身で判断して下さい。
次に、濃い目の色が何故素敵に見えるか、何故高級感が出るのかを考えてみて下さい。
それは、時間が経過してアンティークになったものへの憧れとその時間的な価値を認めるから、素晴らしく見えるのです。歴史というものは、繁栄の証と言えるかも知れません。
さて、アンティークさを新築時に出すとするとどうでしょう?確かに最初からバッチリ落ち着いたデザインとすることは可能でしょう。
でも、私たちの輸入住宅は、他社のように何十年というスパンで家の寿命を迎えるとは思っていません。100年後にはどうなるかを考えながら建築するのが、私たちのイメージです。そう、歴史を刻めるのが本物なのです。
つまり、時間が経って色が変化し、自然と黒くなってくるということを想定すれば、床や内装材の色は自ずと薄めの色とした方が長く楽しめると私は思います。
勿論、素材が本物ではないなら、それを期待することは出来ません。例えば、床材が無垢材ではなく合板フローリングならば、色も変わりませんし、それだけの寿命もありません。
内装枠材の幅木や廻り子、ケーシングが、木目を印刷した塩化ビニールの化粧張りだとしたら、10年もしないうちに表面が割れてくるかも知れません。ビニールクロス張りの内装でも同じです。
無垢の木製フローリング、無垢の内装ドアや枠材、塗り壁のドライウォールなら、私がいなくなった100年後でも、その家は十分アンティークとして存在していることでしょう。
一旦濃くしてしまえば色を薄くすることは出来ませんが、最初に薄くしておけば濃く塗り直すことは可能ですし、家具のチョイスの幅が広がるということを覚えておきましょう。
フェイクで造られたものは新品の時が一番いい状態であり、どんどん廃れてしまいます。逆に、本物で造るものは最初から最高にする必要はありません。時間と共に趣きを増し、違う表情を楽しめるのです。
フェラーリが買えるお金で家づくりするのに、ビニールや合板、プラスチックといった化学製品で出来たものを買うなんて馬鹿げています。でも、多くの人は、それに気づかない。
ニセモノと本物の違いを理解し、価値あるものに投資出来る人だけが、財産や豊かな暮らしを次の世代に引き継ぐことが可能なのです。
建築コンサルタント 村瀬雄三有限会社 ホームメイド 代表取締役