本物の輸入住宅を目指して Vol.37 ‐ ドライウォールは下地が大事 −

para_20140218.JPG私たちが通常使う石膏ボードは、縦4フィート(1.2m)、横8フィート(2.4m)。一般的なビルダーでは、縦3フィート(0.9m)、横8フィート(2.4m)のものを使います。


大きなボードを使うのは、出来るだけボードの数を減らして、つなぎ目(ジョイント)を少なくするという意図があるんです。つなぎ目は、地震等で家が動いた際に割れる危険が最も大きいので、そういうリスクを極力減らさなければいけません。


勿論、人間が腕を伸ばせる幅からすれば、小さな石膏ボードの方が、取り回しもしやすく重さも軽い。だから、施工性を重視する多くのビルダーは、3フィート x 8フィートの小さめのボードを使うのです。


将来に亘る美しさを選択するか、施工性を選択するか、それは住宅メーカーの判断に依りますが、完成度の高さやお客さんへのメリットを考えれば、自ずとその答は出てくるはずです。


また、石膏ボードの張り方にもノウハウが存在します。写真のように石膏ボードを横長に張って、天井から床まで一直線に縦に目地が入らないような施工をしなければなりません。(但し、国産住宅だけでなく、輸入住宅を施工する殆どの住宅ビルダーでも、縦長に張る間違った張り方をしています)


住宅は、屋根、外装、窓や内装が施工されると、建物だけでも相当な重量となります。住宅に掛かるその重み(重力)で、壁が下方向に縮もうとする時、縦に目地が通っていると壁がクラックを起こす原因になるからです。


だから、互い違い(千鳥)にレンガを積むが如く、石膏ボードを張っているという訳です。


ただ、こうした張り方をしても、どうしても縦目地が入ってしまう場所が存在します。それは、壁の角(コーナー)の部分。そういう場所は割れるリスクが高いので、強度の高い紙の専用ジョイント・テープやブルノーズ・コーナー材(角を丸くする部材)で強化します。


そして、つなぎ目を強化する為に使われる石膏パテにも気遣いが必要です。紙のテープに一番馴染みやすいのは、天然石膏の輸入パテ。化学石膏の国産パテは、有害な揮発性物質が入っているので速乾性があり、施工も早くなりますが、固まるとプラスチックのようにガチガチに堅くなってしまいます。


柔道の「柔よく剛を制す」の例えの通り、柔らかな天然石膏は住宅の動きに柔軟に対応しますが、堅い化学石膏は少しの衝撃でも割れてしまうのです。


また、こうした石膏ボードの下地工事は、フローリングやドア、内装枠等を取り付ける前に行わなければいけません。内装の枠材を取り付けると、枠の下になるところだけジョイント・パテの施工が出来ません。更に、フローリングや枠材が、パテで汚れないように養生(カバー)する手間も増えてしまいます。


これは、ドライウォール工事より大工仕事を優先して、一度に連続して内装工事を済ませてしまおうという住宅メーカー側の都合でしかありません。


材料や施工の順序を正しくしないのは、施工性を上げて工期を短縮し、出来るだけ多くの利益を確保するが為であって、お客さんの利益や思いを考えてやっている訳ではないことを理解すべきです。


こうしたドライウォールのノウハウと細かな気遣いが、私たちの美しい輸入住宅のデザインを支えています。いい仕事や美しいデザインこそ、皆さんが望んでいるものではないでしょうか。


いくら安くても、間違った施工では誰も納得しないですよね。見た目が同じで安いなら、どんな材料でもどんな施工でも構わないという人には、本物の輸入住宅は手に入らないかも知れません。


建築コンサルタント 村瀬雄三
有限会社 ホームメイド 代表取締役

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