本物の輸入住宅を目指して Vol.49 ‐ 新築したら終わりじゃない−

para_20150317.jpg戦前の社会では、持ち家のある人はごく限られた少数のお金持ちでした。戦後、高度成長を機に普通の若いサラリーマン世帯でも持ち家が手に入るようにと、郊外の土地開発が行われ、プレハブ化された安い規格型の住宅が建てられました。


こうした豊かさは、今までの日本人の生活を一変させ、その後のバブルへと繋がっていく訳です。


そんな中、90年代には輸入住宅ブームが起こり、お洒落な輸入住宅に住むことが多くの人の憧れとなりました。ただ、いかんせん輸入住宅と言っても部分的に輸入資材を取り入れただけのものや輸入住宅に似せただけのものなどが建てられました。


そういうことが起った背景には、予算の少ない若い人たちに対して、ギリギリの資金計画でローコストの住宅建築を業界全体が勧めたことがあるのです。


結果、私たちのところにも多くの輸入住宅ユーザーから、輸入の窓やドア、外壁や屋根などのメンテナンスに困っているといった相談が多く寄せられています。


それは、価格競争によって少ない利益で建築したビルダーの多くが、ブームの終焉と共に輸入住宅事業から撤退したり、倒産してしまったからに他なりません。


また、安易に輸入資材を施工したはいいが、不具合などのトラブルが発生した時にどう対処していいか、全く見当が付かないといった素人のような建築屋さんが多くいたことも要因の一つです。


さて、運よく新築してもらったビルダーとお付き合いがある人でも、新たな困りごとを抱えることがあるようです。


それは、10年毎の外装の塗り替えやサッシまわりのメンテナンス。


輸入サッシは、バランサーやオペレーター・ギアと呼ばれる部品で可動するのですが、この部品が10年くらいで劣化してきます。そうすると専用部品を交換しないといけません。


そして、屋根や外壁などの外装の塗り替えには、足場を組んだり、汚れを洗い落としたり、窓周りなどの防水処理をやり直したりする為、200〜300万円のお金が必要となります。それも10年毎にですよ。


先程述べたように、ギリギリの資金で家を建てた若い世帯にしてみれば、子供たちの教育資金や老後を迎えた両親の世話にもお金が掛かる時期に、百万単位のお金が10年に一度必要となるのです。


勿論、その間に繰り上げ返済などをして、住宅ローンが完済となっていればいいのですが、多くの方はローンの支払いを抱え、その上でのメンテナンス資金が要求されるのですから、メンテナンスを後回しにするか、やらないで放置するかなどということもあり得ます。


本来すべき定期的なメンテナンスをやらなければ、その寿命が短くなるということは誰の目にも明らかです。つまり、住宅ローンを完済する30年後には、家の建て替えを検討しなければならなくなるのです。


これが、今の日本の住宅が置かれた現実なのです。


高品質な材料を使って、長く愛されるような美しい住宅を建てなければいけませんが、それと同時に定期的な維持管理をするだけの余力がないと、せっかくの素晴らしい輸入住宅も後世に残っていかないのです。


家づくりは、新築したら終わりではありません。本当の家づくりは、メンテナンスをしてその美しさをいつまでも維持していくことに他なりません。


あなたに、その覚悟や将来展望はありますでしょうか。それが出来る人こそ、本物の輸入住宅を建てる価値のある人たちだと思います。


でも、欧米の人は皆がお金持ちではないんですよ。こうした維持管理の作業の多くを自分たちでやるから、然程費用を掛けずに済んでいるのです。


自分でメンテナンスする文化を根付かせるか、それとも費用を掛けて業者さんにやってもらうか、そのどちらを選ぶかはあなた次第です。


建築コンサルタント 村瀬雄三
有限会社 ホームメイド 代表取締役


バックナンバーはこちら→「本物の輸入住宅を目指して」

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